TECHNOLOGY
PROBLEMS in SPACE DEVELOPMENT
宇宙開発の課題
民間宇宙企業の急速な発展や人工衛星の小型化に伴い、複数の小型人工衛星を一つのロケットで同じ軌道に打ち上げるライドシェアが一般的になってきました。ライドシェアは打ち上げ機会の増加や打ち上げコストの削減というメリットがありますが、多くの小型人工衛星は、ライドシェア軌道に留まってしまします。その大きな理由は、ライドシェアにより打ち上げられた小型人工衛星が、より望ましい軌道に向かうための「ラストマイル」の移動を実現できる安全かつ高推力な推進システムがないからです。小型人工衛星事業者の多くは、軌道を自由に選択できないのが現状です。
小型衛星
フェアリング
主衛星
推進機(キックモーター)
人工衛星のライドシェアイメージ
推進系のトレードオフ
安 全
これらの推進系は比較的安全ですが、液体燃料に比べて約1/100,000の推進力しか出ないので、移動に時間が掛かってしまいます。また、スピードが遅いことにより放射線帯からの脱出に時間が掛かり、放射線による影響で人工衛星の太陽電池、集積回路、電子部品、センサーなどに影響を受けやすい、等の課題があります。
液体燃料は高い推進力を得ることができますが、燃料の取り扱いやシステムの冗長性など、安全管理コストがかかります。液体燃料の推進システムの規模が小さくなればなるほど、規模に依存しない安全管理コストやリスク低減コストの割合が大きくなります。そのため、小型衛星の推進系に液体燃料を使用することは、コストをできるだけ抑えたい民間宇宙開発には適切ではありません。
低推進力
高推進力
各種推力比例
・イオン推進 : 0.001 N
・水蒸気推進: 0.002N
・ガス推進 : 0.010 N
・液体燃料推進力 : 100.000N
イオン
水蒸気
ガス
液体燃料
ハイブリッド推進
危 険
HYBRID PROPULSION SYSTEM
ハイブリッド推進システム
2017年に、ライドシェア方式による小型人工衛星の深宇宙探査を実現するため、小型人工衛星用ハイブリッド化学推進が検討され、研究開発を加速させる目的で、北海道大学にJAXA宇宙科学研究所(ISAS)大学共同利用連携拠点が設立されました。
ハイブリッド推進は、固体燃料と液体(または気体)酸化剤の燃焼を利用して推進力を発生させる化学推進の一つです。プラスチック等の固体燃料は、無毒、不燃性、および非爆発性であるため、現在、このハイブリッド推進は最も安全で高推力な化学推進と言われています。
Letaraは、このハイブリッド化学推進技術を小型人工衛星用に転用し、宇宙での安全かつ高速なラストマイル輸送を実現するとともに、太陽系全体をカバーする物流ネットワークの推進力となるべく研究開発に取り組んでいます。
高 推 力
100N
安 全
2-0-0
安 価
小型衛星を短時間で移動させるには、100N程度の高推力が必要であり、液体燃料推進の推力に劣らない製品を開発中です。
※100N=10kgの米袋を地上で動かすのとほぼ同じ
※40,000Nの出力を北海道大学での実験で実証済み。
燃料はプラスチック製なので素手で扱い事ができます。
NFPA704 全米防火協会 (NFPA) が制定した、化学的危険性を示す Fire Diamond 規格 (4 が最も危険、0 が完全に安全)では、「毒性 2 - 可燃性 0 - 爆発性 0」となります。そのため、取り扱いには特別な資格は必要ありません。
廃プラスチックや炭化水素系の固形燃料は、非プラスチックであっても燃料として利用できるため、原料価格は一般的に安価です。また、3Dプリンターでサイズや形状をカスタマイズでき、拡張性と長期の固体保管により、管理コストをさらに削減できます。
DEEPTECH
ディープテック
燃焼技術
長年の研究経験と独自のノウハウにより、燃焼しにくい酸化剤でも燃焼を制御することに成功
※特許技術
性能予想プログラム
独自の解析プログラムにより、世界で初めてノズル浸食予測を可能とし、より高精度な性能評価が可能
※独自アルゴリズム
再点火技術
独自の低電圧、低電力の固体燃料点火システムにより宇宙での適用範囲を拡大
※特許技術
最適設計プログラム
必要なコンポーネントを限られた空間に最適に配置し、性能の最大限化に対応可能
※独自アルゴリズム
真空着火技術
国内唯一の小型推進機用真空燃焼試験設備により短期間での開発が可能
地上実験の専門知識
北海道大学で20年以上の実験研究の経験と、独自のアルゴリズムに基づく高精度の性能予測
※独自アルゴリズム